長男が生まれて間もない頃のことでした。教会の呼び鈴が鳴ったので急いで玄関に行くと、一人の男の人が立っていました。掃除機のセールスマンでした。我が家にももちろん掃除機はありましたので丁重にお断りしたのですが、なかなか帰ろうとしません。「話を聞くだけでも結構ですから!」と言うので、話だけならと中に入ってもらい説明を聞きました。
渋々彼の話を聞き始めてから、およそ1時間後…いま思い出して自分でもビックリなのですが、何と、ビックリするくらい高額なその掃除機を購入してしまったのです!
セールスマンのトークと情熱に圧倒されてしまったのを覚えています。彼曰く、自分もこの掃除機を自宅で使っている、彼自身、この掃除機に心底惚れ込んでいる、とのことでした。
今でもこの掃除機の魅力を熱く語っていたセールスマンのことを時々思い出します。そしてわが身を振り返るのです。果たして自分は、彼の商品への思いに負けないくらいの情熱を持って神様のことを伝えているだろうか?彼の気持ちに負けないくらい、自分が伝える神様のことを知り、神様の言葉に心底惚れ込んでいるだろうか?と…。
仕事だから人に勧めているけど、自分個人としてはそこまで惚れ込んでいない…そんな人から勧められる商品が、魅力あるものとして人々の心に伝わっていくでしょうか?
パウロは次のように言っています。
もっとも、わたしが福音を告げ知らせても、それはわたしの誇りにはなりません。そうせずにはいられないことだからです。福音を告げ知らせないなら、わたしは不幸なのです。
(新約聖書 コリントの信徒への手紙9:16 新共同訳)
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋
※湖の畔に咲くアザミの花(2011年9月23日 長野県信濃町野尻湖で撮影)