今から32年前の4月、こぼれ落ちそうな涙を必死にこらえながら、両親が住む家を出て、全寮制の北浦三育中学校に入学して寮生活を始めました。両親が北浦三育中学校男子寮で働いていましたので、同じ建物の「舎監室」から「寮内」に移動しただけでしたが、新しい世界に出て行くのが不安でたまらなかったのを今でもはっきりと覚えています。
涙と共に種を蒔く人は
喜びの歌と共に刈り入れる。
種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は
束ねた穂を背負い
喜びの歌をうたいながら帰ってくる。
(詩編126:5,6 新共同訳)
当時中学生だった私はこの聖書の言葉をまだ知りませんでしたが、あとから振り返ってみてもこの聖書の言葉は本当だ!と心から思える、充実した中学校生活を送ることが出来ました。そして中学校時代だけでなく、自分の人生の様々な場面を振り返るとき、やはりこの聖書の言葉は真実であると、今も信じています。
32年が過ぎて、長男・次男に続いて今週、三男を同じ北浦三育中学校に送り出しました。自分が中学1年生で入寮するときにこらえた涙とは、また違う涙を必死にこらえながら息子を見送りました。
神様の言葉は今も真実で、出て行く者・送り出す者も共に成長して、喜びあう日を必ず迎えさせてくださると信じます。
そして今、様々な理由で必死に涙をこらえつつ、日々の歩みに出て行こうとしている方々の涙を、神様ご自身が「ことごとくぬぐい取ってくださる」(ヨハネの黙示録21:4 新共同訳)日が、一日も早く来ることを心から祈っています。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋