「本音の言葉」には人の心を打つ力があります。
詩編を読んでいると、特にそのように感じます。詩編記者は、苦しみの中から神様に向かって叫び、訴えています。「え?ここまで言ってしまっていいの?」と思うような本音の言葉を神様にぶつけている箇所がたくさんあります。そしてそれらの叫びの合間に、神様への讃美の言葉、信仰の言い表しの言葉がちりばめられているのです。
ときに神様を讃美し、またあるときには神様に苦しみを訴える。これが私たちの現実でもあろうかと思います。喜びも苦しみも、本音で神様にぶつけ続けた詩編記者が残した次の言葉に、ハッとさせられました。
昼はあなたのもの、そして夜もあなたのものです。
(旧約聖書・詩編74:16 新共同訳)
詩編記者がそうであったように、私たちの人生にも「昼」「夜」があります。光が届き、先を見通すことのできるときだけでなく、お先真っ暗に感じられる試練の夜にも、神様が共にいてくださることを聖書は約束しています。
物事が順調に進んでいるときにも、そして逆風に苦しむ試練の日にも「昼はあなたのもの、そして夜もあなたのものです」というこの言葉は、移ろいやすい私たちの心を神様に立ち返らせてくれる力を持っています。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋