朝ふとんから出るのがつらい、寒さの厳しい季節になりました。
一般的に一日の気温が最も低い時間は、夜明け前です。街中が寝静まっているような真夜中ではなく、もうすぐ日が昇る、その直前の時間帯が一番寒いのです。そしてひとたび太陽が昇り始めると、少しずつではありますが気温は上昇し、凍りついていた植物も生気を取り戻します。
「夜明け前が一番寒い」・・・これは気温の変化だけでなく、私たちの人生にも当てはまるような気がします。
自分が置かれている状況がつらく、厳しく感じられるとき、行く先に希望のかけらも感じられないようなとき、実はそんなときこそが「夜明け前」=「希望が一番近づいているとき」なのかもしれません。
「週の初めの日、夜明け前に、女たちは用意しておいた香料を携えて、墓に行った。」
(新約聖書・ルカによる福音書24:1 口語訳聖書)
※写真は、甲府教会からの日の出と富士山です。
イエス様を心から愛し、従っていた女性たちがいました。彼女たちは、イエス様が十字架上で亡くなられた後、出来る限り早い時間―――それが「週の初めの日の夜明け前」でした―――墓に行きました。彼女たちの人生にとって最も暗くつらい「夜明け前」だったことでしょう。しかし、彼女たちはこの直後、イエス様の復活という大きな喜びを体験することになるのでした。
聖書は私たちに「夜明け」を指し示しています。それは私たちが願っているような形やタイミングでは与えられないかもしれません。しかし、失意のどん底にありながら、それでも救い主の墓に向かった彼女たちが素晴らしい「夜明け」を迎えたように、夜明けが近いことを信じて前進する者でありたいと思うのです。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋