ある夜突然、大切な友達がお腹を空かせて訪ねてきました。何か食べさせてあげたいのですが、残念ながら自分の家には食べ物が何もありません。あなただったらこんなときどうしますか?
これはルカによる福音書11章に出てくるイエス様のたとえ話です。この人は、真夜中だったにもかかわらず、食べ物を持っているもう一人の友達のところに行き「友よ、パンを三つ貸してください。旅行中の友達に何も出すものがないのです」(ルカ11:6)と訴えました。
食べ物を持っている友人は「もう戸締りしてしまったし、子どもたちも寝ているから」と断ろうとしました。しかしこの人は諦めませんでした。「その人は、友達だからということでは起きて何か与えるようなことはなくても、しつように頼めば、起きて来て必要なものは何でも与えるであろう」(ルカ11:8)と書かれています。
そして、イエス様は続けて言われました。
「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる」(ルカ11:9)。
イエス様は、このたとえ話を通して私たちに「自分のために求める」のではなく、「助けを必要としている人のために求めなさい。そうすれば与えられる」と訴えておられるのではないでしょうか。
苦しんでいる誰かのために必死に祈り求める人をイエス様は探しておられます。「大切な人が病、悲しみや試練のただ中にいるけれど、自分には何もできない」と無力感にかられるとき、この「求めなさい。そうすれば、与えられる」という約束にすがって、大切な友のために祈り続けたいと思うのです。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋