「約束は忘れない」

モーセさんは、エジプトの地からイスラエルの人々を救うために神様から選ばれた指導者でした。

 しかし、救出する使命に燃えつつも同胞からの理解を得ることができず、エジプトの地にも居場所がなくなってしまいました。そして、荒れ野で羊飼いとしての平和な生活が始まりました。

この時点では、モーセさんは完全に使命を達成することに失敗したかのように思えます。モーセさん自身もそのことについて日々思いめぐらしていたと思います。

 しかし、今のモーセさんには地位や権力もなく、ただただ年老いていくのみというのが現実でした。

 そして、人間的に考えればこれで終わってしまうのだろうと思えるほどの年月が経ちました。

 そう思える状況の中でも、神様は決して約束を放棄したり忘れたりなさることはなく、しっかりとイスラエルの人々のことを覚えておられました。

それから長い年月がたち、エジプト王は死んだ。その間イスラエルの人々は労働のゆえにうめき、叫んだ。労働のゆえに助けを求める彼らの叫び声は神に届いた。神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。神はイスラエルの人々を顧み、御心に留められた。 (聖書 出エジプト記 2:23-25 新共同訳)

 この時、モーセさんが隠居生活を始めてから既に40年の月日が経っていました。モーセさんの年齢は、人間の人生で言えばもうそろそろ終わりが見えてくるような年齢です。地位や権力に加えて、体力までも失ってしまったモーセさんでした。

では、神様はどのようにしてこの救済計画を実行されたのでしょうか。ここから始まる神様の御計画は、またしても人間の理解を遥かに超えるものでした。