「助けたことが報われる」

ファラオはこの事を聞き、モーセを殺そうと尋ね求めたが、モーセはファラオの手を逃れてミディアン地方にたどりつき、とある井戸の傍らに腰を下ろした。

(聖書 出エジプト記 2:15新共同訳)

同胞からの不信、エジプト人からの不信という居場所を失う状況に際し、モーセさんはとにかく自分の身を守るために逃げ出しました。

 そして、たどり着いたのがミディアンという地でした。その地方には、モーセさんと同じように真の神を礼拝する人たちが住んでいました。

さて、ミディアンの祭司に七人の娘がいた。彼女たちがそこへ来て水をくみ、水ぶねを満たし、父の羊の群れに飲ませようとしたところへ、羊飼いの男たちが来て、娘たちを追い払った。モーセは立ち上がって娘たちを救い、羊の群れに水を飲ませてやった。

(聖書 出エジプト記 2:1617 新共同訳)

 ミディアンの祭司というのは、まさにモーセさんと同じ神様に仕える家族でした。その7人の娘たちは羊飼いとして羊の世話をしていました。

 モーセさんが井戸で休憩していたところ、男性の同業者に追い払われて困っている彼女たちの姿が見えました。

 エジプトの地では、良かれと思って人助けをしたことが全く理解を得られず、そのせいでここに逃げてくることになったという苦い思いがあったことと思います。しかし、モーセさんはこの困っていた祭司の娘たちを助けました。

 無事に羊の群れが水を飲むことができた後、モーセさんに助けられた娘たちは祭司である父にこのように報告しました。

彼女たちは言った。 「一人のエジプト人が羊飼いの男たちからわたしたちを助け出し、わたしたちのために水をくんで、羊に飲ませてくださいました。」

出エジプト記 2:19

 モーセさんはエジプトから着の身着のまま逃げて来たので、エジプト人に見られたわけですが、彼女たちからすると「まさかエジプト人が助けてくれるなんて」という驚きもあったことと思います。

そんな中でも、「この人は私たちを助けてくれた」と、今回はモーセさんの思いがしっかりと理解され、感謝されたのでした。