兄弟たちが家族を連れてエジプトへとやって来たことを報告するために、ヨセフさんはファラオのもとへ行きました。
その際に、兄弟の中から数人選び、挨拶のために一緒にファラオのもとへ連れて行きました。すると、ヨセフさんが兄弟たちに伝えておいた通りの質問が待ち受けていました。
ファラオはヨセフの兄弟たちに言った。「お前たちの仕事は何か。」 兄弟たちが、「あなたの僕であるわたしどもは、先祖代々、羊飼いでございます」と答え、更に続けてファラオに言った。「わたしどもはこの国に寄留させていただきたいと思って、参りました。カナン地方は飢饉がひどく、僕たちの羊を飼うための牧草がありません。僕たちをゴシェンの地に住まわせてください。」 (聖書 創世記 47:3–4 新共同訳)
ファラオからの質問は、「仕事は何か」というものでした。これに対しては、羊飼いと答えるようにと事前の打ち合わせで伝えてありましたので、その質問をされた兄弟たちはしっかりと予定通りの応答をしました。
ここには大きな誘惑がありました。エジプトの国を任せているヨセフさんの兄弟たちですから、ファラオとしても兄弟たちに対してそれなりの地位を与えようと考えていたことと思います。
また、そのような地位をもらえるとなれば、目がくらむことがあったかもしれません。もしそのような流れになってしまったとしたら、この家族はエジプトという異教の文化の中に取り込まれてしまうことになっていたかもしれません。結果、神様を礼拝する者としての忠実な歩みが困難になってしまう恐れがありました。
しかし、神様はヨセフさんを通して兄弟たちに「羊飼い」と答えさせることで、その危険から守ってくださいました。
更に、兄弟たちがファラオの質問に対する答えの際、自分たちは寄留者であり、永住するつもりでいるわけではないということをハッキリと伝えたことで、エジプトという国に完全に入り込むのではなく、あくまでも寄留者であり、再び旅立つこともあるということをファラオに示しました。
私たちは、神様の御国を目指して歩んでいます。聖書は、この世は仮住まいであると言っています。私たちも、ヨセフさんの兄弟たちのように、この仮住まいにおいて地位や名誉を得ることではなく、神様に忠実であることが大切であると聖書は教えてくれます。