「未練を残さずに」

ヨセフさんと兄弟たちの再会は、誰も予想しなかった方法によってなされました。神様の御計画のうちに、長い年月をかけて一人一人の心が変えられ、再会のために備えられました。

 この兄弟たちの再会は、涙を流さずにはいられない感動的なものでした。ヨセフさんが身を明かす前にも共に食事をしながら語りあいましたが、今回は正真正銘、兄弟として語らいの時を持ったのでした。

 そして、この感動の再会は、ヨセフさんたちの中にはとどまりませんでした。

ヨセフの兄弟たちがやって来たという知らせがファラオの宮廷に伝わると、ファラオも家来たちも喜んだ。(聖書 創世記 45:16新共同訳)

エジプトのナンバー1であるファラオにもこの知らせが伝わりました。そして、ファラオからの絶対の信頼を得ていたヨセフさんが、長年離れ離れになっていた家族と再会を果たしたということで、ファラオやその家来たちも共に喜びに満たされました。

 そして、この喜びの知らに対して、ファラオはある提案をしました。

ファラオはヨセフに言った。「兄弟たちに、こうするように言いなさい。『家畜に荷を積んでカナンの地に行き、父上と家族をここへ連れて来なさい。わたしは、エジプトの国の最良のものを与えよう。あなたたちはこの国の最上の産物を食べるがよい。』 また、こうするよう命じなさい。『エジプトの国から、あなたたちの子供や妻たちを乗せる馬車を引いて行き、父上もそれに乗せて来るがよい。家財道具などには未練を残さないように。エジプトの国中で最良のものが、あなたたちのものになるのだから。』」(聖書 創世記 45:17-20 新共同訳)

ファラオの提案は、家族を皆エジプトへ連れてくるようにというものでした。そして、そこで一緒に住むようにというものでした。

しかも、エジプトの国で最良のものを与えるという約束までしてくれたのでした。ヨセフさんがどれだけファラオに対して誠実であったかということが良くわかる提案に思います。

そして、ファラオが最後に言ったのは、今住んでいる土地で使い慣れた家財道具などに未練を残さず、何も持たずに引っ越してくるようにということでした。

何故なら、ここで最良のものを用意して待っているからという約束があったからです。

 神様は、私たちを神の国へ招いてくださっています。そこには、私たちにとって最良のものが用意されています。

 だから、今この世で私たちの心を惹く様々なものに未練を残すことなく、私の用意する御国へ入りなさいと招いてくださっています。