山に登らなければ、山頂からの景色を見ることは出来ません。
船出しなければ、向こう岸に渡ることは出来ません。
私たちはしばしば失敗を恐れて、山の麓や岸辺に留まろうとします。現状に留まれば、とりあえずの安全は確保されるからです。
ある日、イエス様は弟子たちに「向こう岸に渡ろう」と呼びかけられました。彼らの中の何人かは漁師でした。彼らには舟を操縦する技術があり、経験がありました。しかし、彼らが船出して間もなく、舟は激しい嵐に見舞われます。すっかりおびえ切った弟子たちは、眠っておられるイエス様に助けを求めました。イエス様が起き上がって風と波をお叱りになると、嵐は止んですっかり静まりました。その様子を見た弟子たちは「いったい、この方はどなたなのだろう。風や湖さえも従うではないか」(マルコ4:41)と口々に言いました。
彼らはイエス様の言葉に従って船出したことで、想定外の嵐に見舞われました。しかし、彼らは船出したことで、それまで経験したことのなかったイエス様の力を体験することになりました。嵐の激しさだけでなく、それを鎮めたイエス様の力も彼らの想定をはるかに超えたものだったのです。
「キボウのトビラ」講演会が終わりました。10日間の講演会を開くというのは、私にとって大きなチャレンジでした。不安と恐れがいつも心の中にありました。しかし、船出しなければ分からないことが確かにあるのだ、そのことを実感させられる10日間でもありました。限られた自分の経験、信仰では想定できないような体験が、この10日間を通して与えられました。神様に心から感謝します。
イエス様は私たちに呼びかけられます。「向こう岸に渡ろう」と。あなたはその声に、どのように応答されるでしょうか?