弟子の一人で、後にイエスを裏切るイスカリオテのユダが言った。「なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、貧しい人々に施さなかったのか。」彼がこう言ったのは、貧しい人々のことを心にかけていたからではない。彼は盗人であって、金入れを預かっていながら、その中身をごまかしていたからである。
(新約聖書 ヨハネによる福音書12:4~6 新共同訳)
人はしばしば、自分の心の奥に本心を包み隠しながら言います。「私はあなたのためを思って言ってるんだ!」
「偽」という漢字を分解すると「人」「為」となります。私たちが何かにこだわって「あなた(人)の為(ため)」と声高に叫ぶとき、自分自身の心の中に「偽」という漢字が入り込んではいないだろうかと自問してみる必要があるのかもしれません。
イエス様に高価な香油をささげたマリヤにイスカリオテのユダが言いました。「なぜこの香油を売って貧しい人にほどこさなかったのか?」一見もっともらしい、「貧しい人たちの為に」という彼の言葉の裏側には、自分の不正をごまかそうとする計算高さと、金銭に対して貪欲さが隠されていました。
イエス様は私たちの心の奥に秘められた本心をご存じです。小さくても真心からの行いや言葉を神様のために、人のためにささげる者でありたいものです。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋
※陣馬山登山道からのお茶畑と富士山(撮影:2015年5月11日)。