さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。
(新約聖書 ヨハネによる福音書5:5~8 口語訳)
「病気の人に、しかも40年近くも苦しんできた人に『なおりたいのか』って、ちょっと無神経すぎる質問じゃないか?なおりたいに決まっているじゃないか。」
私はこの箇所を読むたびに、そう思っていました。
しかしあるときから、このイエス様の言葉が鋭く心に迫って来るように感じられるようになったのです。
うつ病になって仕事を休職し、なかなか職場復帰できずに過ごしていた時期のことです。なかなか復職できないことに焦りを覚え、「早く治りたい」という気持ちになる反面、「病気で休んでいる生活」に居心地の良さを覚え、色んな言い訳を探しながら(時に周囲に責任転嫁しながら)、「病」を自分の殻にしてそこに閉じこもろうとしている自分に気づかされたのは、そのころふと開いた聖書の中に、イエス様のこの言葉を見つけたときでした。
「あなたは本当に立ち上がりたいと思っているのか?もしそうなら、自分の足で立ち上がりなさい。」イエス様から鋭く本心を見透かされ、しかしあたたかく問いかけられているような思いになりました。
この人はその後どうなったでしょうか?「すると、この人はすぐにいやされ、床をとりあげて歩いて行った」(同5:9)。イエス様は私たちになすべきことを示すだけでなく、それをする力を与えてくださるお方です。あなたの立ち上がる一歩を、イエス様が支えてくださいますように。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋
※写真は山梨県芦川町の林道の紅葉です(11月13日撮影)。