「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」
先日、久しぶりに山登りに行きました。
登山口から登山道を歩き、山頂で弁当を食べて、帰りは行きとは違うルートから下山しました。半分くらい下山すると、登山道の横に小さなスペースがあり、そこには「雨宿りシート」と書かれた手作りの木製のベンチがあります。しばらくそのベンチに座ってゆっくり身体を休めることが出来ました。
緑の木々の間から木漏れ日が射し、谷から渡って来る涼風に心身が癒されるのを感じました。
以前読んだ本に書かれていた、詩を思い出しました。
もしもわたしが一人の人の心を、傷心におちいらせないようにすることができるなら、
わたしの生涯は、むだではないであろう。
もしも一人の人の苦悩をやわらげてあげることができるなら、
あるいは、一人の人の苦痛をしずめてあげることができるなら、
あるいはまた、風に吹きおとされて弱りはてている一羽の駒鳥を助けて、
もとの巣の中へ、そっともどしてやることができるなら、
わたしの生涯はむだではないであろう。
(太田俊雄『矢と歌』19ページより)
一日にこのベンチを利用する人の数はそんなに多くはないでしょう。それでも人知れず、疲れた登山者にひとときの憩いを提供しているこのベンチのように、一人の人の苦痛や苦悩をそっと和らげる手助けが出来る人になりたいものだと思いました。
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋