夜明けまで真剣に祈りながら神様と格闘したヤコブさんは、心からの悔い改めと求め続ける真剣な祈りによって神様から祝福を与えられました。
兄の留守に父をだまして祝福を奪い取った時とは全く異なる心境だったことと思います。
ヤコブさんはこの戦いで足を負傷してしまいました。この負傷は、普通であればかなりのマイナスとなってしまったことと思います。何故なら、進む先からは兄のエサウが400人を連れてこちらへ向かって来ていたからです。勿論、ヤコブさんは争うつもりはありませんでしたが、万が一のことも視野にいれていました。もし怒った兄と400人に襲い掛かられたとしたら、この身体では逃げることすら叶いません。
こんな状態になってしまったからには、やはり引き返した方がいいのではないかと考えてしまいそうです。
しかし、ヤコブさんは逃げることなく進んでいきました。それは、あの徹夜の祈りを通して赦しの確信を得ることができたからです。神様が必ず道を備えてくださる。そのように信じて進んで行ったのではないかと思います。
そして、いよいよその運命の時をむかえることとなりました。一度は、もしかしたら赦されることなく、滅ぼし尽くされるかもしれないと思った兄エサウと400人の集団が見えてきました。
ヤコブさんが自分の隊列の先頭に行き、エサウに持てる限りの誠意をもって挨拶をしました。
すると、驚くべきことがおこりました。
「エサウは走って来てヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた。」(聖書 創世記33:4 新共同訳)
赦しが現実のものとなった瞬間でした。怒りや憎しみ、後ろめたさなど、様々な感情が入り乱れる中で会うことすらできない状態になっていた兄弟が、神様の計らいの中で再会を果たすことができた素敵な瞬間でした。