私の休日の楽しみは、走ることです。以前は自転車で走っていましたが、最近はジョギングをしています。長い距離を走るとき、いつ頃からか自分に言い聞かせるようになったことがあります。それは、「目的地を目指す。しかし、先を見過ぎない。ときには後ろを振り返る」ということです。
長くきつい登り坂を走っているときに、坂の上の方を見ていると「まだこんなに登りが続くの?!」と絶望的な気持ちになってしまうことがあります。あまり先を見過ぎず、足元を見ながら一歩一歩進んで行くと、いつの間にかきつい坂が終わっています。ときには後ろを振り返ることで元気が湧いてくることもあります。「先は長いな…。」と思うとき、自分がこれまで走ってきた道のりを振り返ると「こんなに頑張って来たんだからゴールまで行ける!」と、前向きな気持ちにさせられます。
信仰生活や、人生のゴール・目的地を覚えるのは大切なことです。しかし、自分の足元をしっかり見据えて一歩一歩進むことも同じように大切です。自分が歩いてきた道を振り返るとき、達成感を覚え、そこに備えられていた神様の恵みを思い返して感謝の念が湧いてくることもあるでしょう。それらはいずれも目的地を目指す私たちを励ましてくれます。
私は使徒パウロが手紙の中で繰り返し使っている「走る」という言葉が好きです。私たちが自分の人生を終えようとするときに、パウロと共に胸を張ってこのように言いたいものです。
世を去る時が近づきました。わたしは、戦いを立派に戦い抜き、決められた道を走りとおし、信仰を守り抜きました。
(新約聖書 Ⅱテモテへの手紙4:6,7 新共同訳)
セブンスデー・アドベンチスト甲府キリスト教会 牧師 伊藤 滋